ドイツ神秘主義の主峰エックハルトと禅は魂の根底とは何かという問いに向きあい、それは神の根底であり無であると説く。東西の伝統の狭間を通底して響きあう両者にとって根源的経験とは何か。著者はそこに神秘主義的合一を脱却した非神秘主義の自由な平常心を見て取る。現代における人間存在の窮地を様々な連関から長年にわたって究明してきた独自の深い思索が光を放つ。新編集版の著作集成。