『姿三四郎』で鮮烈なデビューをかざり、『羅生門』で国際的な評価を得た黒沢明は、常に次回作が世界中で待望されたもっとも著名な日本人映画監督である。その創造力の秘密とは何か。日本映画史研究の第一人者が、全監督作品三〇作とシナリオ作品を綿密に読みとき、スタッフ、俳優等を論じ、巨匠の精神の遍歴を明らかにする。