京都学派を代表する哲学者田辺元と、著名な女流小説家野上弥生子が、晩年の六五歳から田辺の亡くなる前年までの一〇年間にわたって、文学、哲学を巡って交わした往復書簡集。時代を代表する哲学者と作家、しかも同年の男性と女性が、高度に知的な愛情関係をもち、親しく書簡の往復をかわしたことは、戦後日本思想史の特筆すべき一大ドキュメントである。下巻:一九五六‐一九六一年。