この本は、付き添い廃止をきっかけに、介護の現場の取材を始めた著者が、朝日新聞に連載した記事をもとに、大幅に加筆・再構成してまとめた。第一章「チューブはやめて」、第二章「『縛らない介護』をめざして」、第三章「付き添いは消えたか」では、人間らしい介護を求めて続く、現場の人々の努力や挑戦、お年寄りや家族のようすを紹介した。第四章「新しい風」では、介護を支える家族や人々の変化を追った。第五章「介護保険がやってくる」では、介護保険の運営を担うことになった市町村の衝撃や、スタート前夜からの取り組みをまとめた。第六章「介護保険がやってきた」では、期待と不安のなかで、実際に介護保険制度が始まった現場のようすの一端を報告した。また、高齢先輩国デンマークがとりくむヘルパーの教育の充実や在宅での看取り支援制度、介護保険先輩国ドイツで、法医学者が遺体を調査して介護の質の惨状を明らかにした「バンブルク・スキャンダル」など、両国から学ぶべき点を、付章として紹介した。