日本の山にはそれに適した登り方、歩き方があって、それは「旅」の要素を色濃く持っている。本多さんは、50歳での山への帰還を登山ではなく山歩きだと言っているが、それは日本の山の味わい方の基本の態度であり、彼が山の中で感得している「無為の充足」は、山旅の本質でもある。