東京オリンピックの年、小さなプロペラ機でパリに渡った。目指すは日本人にまだまだ馴染みの薄い西洋の名画。巨匠・ルオーやピカソとの出会いを経て、美を愛しながらも画家の道を諦めた青年は、いかに「日本一の画商」になったのか。一流企業を退職した修業時代、作品盗難事件の顛末、小林秀雄、梅原龍三郎、谷川俊太郎ら昭和史を彩る文化人との交流-。芸術に身を捧げ、日本と西洋の架け橋となった画商の情熱的な半生。