十津川警部は帰宅途中の電車で若い女性から「お願いがある」と声をかけられた。不眠不休の捜査で疲れきっていた十津川は、明日にでも警視庁に電話をしてくれと言い、その場を去ってしまう。そして翌朝、駆けつけた殺人現場で見た死体は、声をかけてきたその女性だった…。十津川警部の苦悩を描く「事件の裏で」をはじめ、男を手玉にとってきた女性が狙われる犯人当て小説「私を殺しに来た男」、プロ野球の世界を舞台にしたスポーツ推理小説「サヨナラ死球」など、本格推理から異色作品まで、単行本未収録の短編を十作収録。文庫オリジナル短編集。