夕立のなか、吉原大門を駆け抜けようとする小柄な男がいた。男装して足抜けを図った遊女・朝雲だった。連れ戻された朝雲は、女衒に騙され売られたのだと訴えるが、容赦ない折檻を受ける。吉原では、不始末をした遊女たちは私刑に遭う。客の花代を立て替えたあげく、逃げられたおいらん・花雲が受けたのは、「水鏡」と呼ばれる罰だった。-哀れな遊女を食い物にする悪党は許さない!今日もおえんの鉤縄が飛ぶ。痛快時代連作。