平安時代末期、武士の道を捨て、家族を捨て、ただひたすらに和歌の道を究めるため、出家の道を選んだ西行。歌をどう詠むかではなく、歌になにを詠むかにこだわり続け、中世という新しい時代を切り開いた大歌人の生涯を、伝承歌を含め、項目で60首、全体で300余首の歌から丁寧に読み解く。桜をこよなく愛し、先人の跡を各地に訪ね、日本文化のさまざまな場面に足跡を残した西行という巨人の和歌をとことん楽しみ味わう1冊。