フランク・ロイド・ライトが日本の伝統的絵画美術を愛好していたことは広く知られているが、同時に、彼は日本美術や建築からの直接的影響は強く否定していた。本書では、日本の哲学的部分だけではなく、美術や建築のある特定の意匠が実際ライトの初期の作品に大きな影響を与えていた事実を検討する。ライトのいう「有機的」デザイン原理の観点から、ライトがいかに日本の伝統美術や建築を理解していたかについて論じる。そして、それぞれ独立した形態やアイデアがひとつの新しい創造的な統合体にまとめられていった過程を示すことによって、ライトの芸術的な独創性について明らかにする。アメリカ建築家協会(AIA)の1994年ARCHITECTURE BOOK AWARD受賞。