塾講師の川村孝之の友人・馬渕が用水路で死体となって発見された。孝之は一週間前に馬渕と自宅で会っており、『テネシー・ワルツ』という古いレコードと8ミリフィルムを彼が大事そうに持ち歩いていたことを思い出す。孝之は事件の真相がそこに隠されているのではないかと独自に調査を始め、終戦間際にアメリカ兵を匿った母子の悲劇を知る…。六十年に亘る愛憎劇と親子の絆をテーマに描いた社会派ミステリ。