疎開先の村で杉並木に向かって歌いかけた角野栄子。進駐軍のジープに憧れた児玉清。空襲で鉄骨だけになったピアノを見た舘野泉。満洲の芸者置屋で育った辻村寿三郎。大阪大空襲の日、火焔ドームの中を逃げ延びた梁石日。バラの鉢植えを持って疎開し、拾った子雀を育てた福原義春。アッツ島、サイパン島、硫黄島に慰問に行った中村メイコ。トルストイやチェーホフを燃やして暖を取った山田洋次。焼け跡の闇市で予科練帰りの青年が殺されるのを見た倉本聰。ピョンヤンからソウルへ、闇のトラックで38度線を越えた五木寛之。10人の戦争、そして10人の戦後。