八百石の旗本ながら無役の嶋伝八郎の薬草園に、江戸城は西ノ丸の若君が下向された。その折、伝八郎が指南する「有明」の薬膳料理を召し上がったことから、なんと華板の伊之助を江戸城の御台所人にとのお召しが…。困惑する伝八郎と側近の佐伯外一郎を尻目に動いた意外な人物とは?人の痛みには敏感だが自分の恋には疎い草食系の殿サマが、裏長屋から殿中まで、真摯に飄々とお節介を焼く人情旗本シリーズ第三弾。