中国語作家として活躍する著者が、中国語の魅力を語る。中国語を知ることは、世界中に伸びる華人ネットワークへのパスポートを手にすることだ。豊富な経験をもとに上達のコツ、言葉を知ることで広がる世界をガイドする。
実践的上達法から複眼思考の身に付け方まで中国語を知るとこんなに世界が広がります
中国語世界の広がり
中国人の世界にあっては、みんな普通話で何とか渡りきろうとし、実際に渡りきるのである。(中略)訛りなんてあって当然、なかったらかえって怪しまれる。日本語のことわざにも「訛りは国の手形」というではないか。手形といったら証明書、パスポートである。それで東は東シナ海から西はシルクロード・チベットまで、北はロシアとの国境から南はベトナム国境まで。サンフランシスコのチャイナタウンからボルネオの熱帯雨林まで。どこでも大丈夫、何とか渡りきれるのが中国語の世界というものなのである。(中略)広い中国、お互いの方言ではまったく通じない。だからこそ、必死に標準語で伝えようとする。その結果、訛りがあっても、間違っても、たいていは通じる。理解しあえる。なぜなら、わかろうという意志が強く働くからなのだ。――<本書より>