イスラーム教を信ずる人々は、七世紀から今日まで、ユーラシア大陸のスペインから東南アジア、さらには日本やアメリカまで、長い時代にわたって、そして広い地域に、その足跡たる建物を残している。茫漠たるイスラームの広がりのなかで、著者が垣間見た建造物はごくわずかな片鱗にすぎない。とはいえ、なるべく著者が自分で実際に訪れたことのあるものを主軸にして、イスラーム建築の秀作を紹介したい。