本書は、私たちの日常生活のなかに日本人のものの見方と美意識を探った表題作ほか、「盛り場のなかの美」「日本語の人間学」を収録。箸と茶碗、軒端と縁側、のれんと敷居、縁日とみこしなど、ふだんあまり意識されない事物のなかに、日本文化の本来のすがたを見ようとする。皮相なものこそもっとも深刻であり、身近なものこそもっとも迂遠である、神というものがもしあるなら、それは身近の些事に宿ると説く著者ならではの日本文化論。