本書は、オイゲン・ヘリゲルのいわば「遺稿集」である。ここに収められている禅の神秘主義を論じた手稿の数々は、いずれもヘリゲル自身の決定稿である。"虎の描いて猫に類する"底の禅書が氾濫するなかで、身をもって禅の真髄に徹したヘリゲルの片言隻句は今日なお新しく、多くの示唆を与えてくれる。