進歩・合理・効率を旨とする近代主義の価値観が西洋を、日本を覆っている。ここでは男はもちろん女=母親でさえ物質的-社会的価値によって量られ、生産-労働第一主義に駆りたてられる。「女らしさ」は劣っているか。現代人の悲惨な生からの救済を願って著者は、「たまもの」という謙遜な心の技術、非合理非効率な「家庭の精神」の復権を訴える。博大な学識と成熟した叡知で綴るたじろがぬ生き方のすすめ。