日本文化は多元的で異質な文化が複合したものであり、稲作文化のみならず、縄文文化もまた日本文化の基層を構成する重要な要素であったと著者は考える。この観点から、本書では「ナラ林文化と照葉樹林文化」という、東アジア全体を視野におさめた文化史の枠組のなかで縄文文化を捉えなおし、その文化的系譜をさぐる。広範な学問の成果に立脚し、新たな視座からみる縄文文化論。