奇妙なユーモア溢れるアメリカ旅行記「走れトマホーク」。身辺私小説仕立ての「埋まる谷間」「ソウタと犬と」。中国の怪異小説家に材を取る「聊斎私異」など、多彩な題材と設定で構成されながら、一貫する微妙な諧調-漂泊者の哀しみ、えたいの知れない空白感。短編の名手の円熟した手腕が光る読売文学賞受賞作。表題作を含む9編を収録。