天保9年、金六、宇三郎兄弟は、松前を出帆、江戸に回航途中、西風に遭い、漂流6カ月、天保10年米捕鯨船に救助され、ハワイ群島オワフ島に着く。兄と仲間3人を失なった宇三郎達生残りは、ロシア領カムチャツカ、オホーツク、シトカを経て、エトロフに送られ、天保14年9月上旬、宇三郎をのぞいて、松前城下に着いた。日本文学世界文学に誇る井伏鱒二の長篇傑作。"自選全集"版未収録の芸術院賞受賞の鏤骨の名品。