三品財閥の女婿である外交官の鳥栖庄五は、役所の機密書類を密かに持ち帰る途中、秘密探偵社の一団に誘拐される-。社会機構を痛烈に風刺した「影」をはじめ、幻想的世界と現実とが妖しく交錯する「裸婦変相」、喜寿を迎えた名妓お花が十一歳の幼女に変貌する喜談「喜寿童女」ほか、「ほととぎす」「大徳寺」など、鋭い批評眼と絶妙な文体で描かれた中期作品群より七篇を収録。