寿岳文章は、その高い志具現のために一生を生きた。強烈な個性をもち、真の美を究極まで追い求める。それを書物という形に実現するために真摯に全身全霊を傾ける。寿岳文章の確かな業績は、しかし、妻しづの 夫、文章への愛にみちた理解なしには考えられない。この希有な夫妻の共同作業の代表作『紙漉村旅日記』『向日庵消息』ほか。和紙をめぐるエッセイを収めた。