頼朝を描くことは、平氏一門を描くことでもある。また弟義経の数奇な運命にも触れなければならない。-頼朝、13歳。捕われて死すべき命を池禅尼の恩情に救われ、長じて政子との恋に花を咲かす。監視役・北条一族を味方に引き入れた辣腕-。禅尼の訓誡に背いた石橋山の挙兵。やがて旗下に馳せ参ずる義経一党。運命の皮肉、流転相剋の数々。武将の明暗のうちに、人生を凝視した力作。