明治文壇を代表する批評家であり、小説も書き、外国文学の紹介者でもあった内田魯庵。彼の旺盛な好奇心と洋の東西におよぶ該博な知識は文学を越えて、民俗学そして文明論的な拡がりをもつに至る。江戸から明治への時代の推移は、急激な西洋化に伴い、ある種の伝統の暖絶でもあり日本的ハイカラ文化の誕生でもあった。両者をバランス良い視点から眺め綴る自由主義者魯庵、神髄発揮のエッセイ。