本来反小説な神々や英雄の悲劇の世界を、現代小説に直接「移植」する試みのなかで、古代ギリシャ人の行動様式や神話的モチーフは、そのグロテスクな陰惨さのままに、今もわれわれの内に息づき生き延びているのではないかということを問いかける「向日葵の家」「酔郷にて」「白い髪の童女」「河口に死す」「神神がいた頃の話」の五篇から成る連作集。