「心配するな。何とかしてみよう」母は、泣き崩れて弟の救出を父に懇願する。失敗すれば、その場で捕縛され、射殺されるかもしれない。だが、父は平然と言った。朝鮮戦争のさなかの父と母とオジさんの話を聞いて、ボクは衝撃を受けた。かれらの強靱な精神力と勇気、限界まで頑張った人間の姿に。家族の困難が問われる時代にむけて贈る、著者渾身の力作小説。