日本、朝鮮、中国に囲まれた環シナ海域-。そこは人と物の交流が活発に行なわれ、文明伝播の場として歴史の重要な舞台であった。中世には倭寇が跳梁し朝鮮や明との緊張が高まる一方で、倭人たちによる密貿易も拡大してゆく。国境を縦横に越え、境界の地に跋扈する彼らの活動を、新たに朝鮮の史料を駆使して描き、雄大な中世像を提示する。