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  • 著者片岡義男
  • 出版社講談社
  • ISBN9784062187442
  • 発行2014年5月

ミッキーは谷中で六時三十分

ふと入った喫茶店で突然、独身の娘のおまけつきで喫茶店をやらないかと誘われた柴田は……!?(「ミッキーは谷中で六時三十分」)。翻訳家の西野は打ち合わせの時も、建て替えの相談の後も、母が亡くなった日も、いつもの店でコーヒーを飲んだ(「タリーズで座っていよう」)。東京の街を舞台に記憶と言葉、男と女を描いた魅惑の7篇。今こそ片岡義男を読むべき時であることを印象づける、鮮やかに研ぎ澄まされた作品集です。
フリーライターで独身の柴田耕平は、ふと入ってみた喫茶店で店主から突然、独身の娘のおまけつきで喫茶店をやらないかと誘われる。娘のナオミに連れられ、今度は母親が食堂を開いている谷中へ。ある家族を巡った疾走感あふれる一日の物語。(「ミッキーは谷中で六時三十分」)
髪が長く中性的な雰囲気の翻訳家・西野晴彦は、女物の服を好み、いつもタリーズでコーヒーを飲む。編集者と打ち合わせするときも、建て替えの相談のあとも、母が亡くなった日も、彼は同じようにショートサイズのコーヒーを飲んだ。(「タリーズで座っていよう」)
才気あふれるカメラマン、女優でもあるラジオ・パーソナリティ、奇妙な人々が集まる喫茶店のウェイトレス。高円寺の美しい三人の「ゆかり」と、五十代の作家が織り成す不思議な出会い。(「三人ゆかり高円寺」)
料理人の麻紀子と翻訳家のミルカは、偶然喫茶店で出会った作家の久保寺と編集者の津村と連れ添って、カレ-ライスを食べに「下りの各駅で六つ目」の駅へ。ウルトラマンが見守るその場所で交わされるのは、懐かしい漫画やアニメの話。やがて三人と別れた麻紀子は、ひとり三軒茶屋へ……。(「酔いざめの三軒茶屋」)
谷中、高円寺、祖師ヶ谷大蔵、三軒茶屋、経堂、下北沢、吉祥寺、渋谷……東京の街を舞台に、記憶と言葉、男と女を描いた魅惑の7篇。どの短篇も太陽が南中して影が一切ない日なたのように研ぎ澄まされた文章と構造を持っています。著者は2014年に作家生活40周年を迎えます。今こそ片岡義男を読むべき時であることを印象づける、鮮やかに研ぎ澄まされた作品集です。

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