本書は、天啓書とされるヴェーダ聖典や、『マハーバーラタ』や『ラーマーヤナ』の叙事詩、その他古典文献を参照しつつ、ヒンドゥー教が内部に抱えてきた対立と緊張を構造的に捉えて、そのダイナミズムを描いている。読み通すと全体として、古代インドのバラモン教から、中世そして現代に連なるヒンドゥー教の宗教哲学までの大きな流れが立ち現れる。