万引きをくり返す、ごみを集めてためこむ、自分の排泄物を弄ぶ、突然抱きつく……。認知症は物忘れなど些細な異変から始まり、徐々に日常が混乱して、ありえない行動が目立ってきます。確かに認知症の人の行動は不可解です。しかし、それは私たちの常識からすれば、なのです。どんな行動にも本人なりの理由や思いがあります。問題行動の背景にあるものをわかりやすく図解しながら、そのときの対処法を示します。
ひと目でわかるイラスト図解
《講談社 健康ライブラリースペシャル》
【どんな行動にも本人なりの理由や思いがあります】
認知症が進行してくると、家族や周囲の人にとって問題となる行動が現れてきます。
万引きをくり返す、
ごみを集めてためこむ、
自分の排泄物を弄ぶ、
人形と親しげに話す、
大声で怒り殴りかかる、
突然抱きつく
……どうしてそんなことをするのか? どうしたらやめてくれるのか?
介護者の心痛は募る一方です。
しかし、本人も本人なりに理由があってしている行動です。
そのときの対応と、日ごろの対策を考えていきましょう。
【まえがきより】
認知症の人の行動は、じつに不可解です。とくに徘徊や火の不始末など、本人や周囲の人に危険が及ぶ行動には、本当に悩まされます。こういった行動が起こるようになると、介護者は、常に気を張っていなければと自分を追いこんでしまうことが多いようです。なかには、すっかり滅入ってしまう方もいらっしゃいます。
もしあなたが今、認知症の人の行動で苦しみやどうにもならない閉塞した気持ちを抱えているとしたら……。それは、認知症の人の行動を「理解できない」と思うからかもしれません。
確かに認知症の人の行動は不可解です。しかしそれは私たちの常識からすれば、なのです。
認知症の人は、その人なりの世界の中で生きています。そこは、私たちの常識の基準とは少しずれている世界だといえます。認知症の人の世界の常識に当てはめてみれば、どんな行動も、その人なりに考えてのことなのです。
(杉山孝博)
【本書の構成】
《1 始まりはささいな異変から》
《2 徐々に日常が混乱していく》
《3 周辺症状の背景にあるもの》
《4 後悔しないために介護者ができること》