「実に、見事な左道であった」。謎の寺院、聖宝院文殊寺に乗り込んだ京極堂。白丘、降旗、そして朱美……、照魔鏡(しょうまきょう)をかかげるがごとく記憶の深淵が明らかにされたとき、歴史の底に凝(こご)っていた妄執が、数百年の時空を超えて昭和の御代に甦る。いくつもの惨劇を引き起こした邪念は果たして祓(はら)い落とせるのか。