作家になりたくて、でも、甘ったれの幸せな「夢見る夢子さん」のままじゃ作家には絶対なれないと思っていた10代。自分で自分の背中を蹴っ飛ばし、外の世界に触れ、文化人類学の道を志した20代。そして、その先に待ち受けていた「作家として生きつづける」という新たな登り坂……。壮大な物語世界を生んだ作家の道程が問いかける、「読むこと」「書くこと」「生きること」とは。
「どうやったら作家になれますか」「『獣の奏者』や『精霊の守り人』みたいな話は、どうやって生まれてくるんですか」というご質問に、本当に意味のあるお答えをするためには、その物語を書くまでに私がたどってきた道程をすべて、お伝えしなければなりません。――物語は、私そのものですから。(本文「作家になりたい子どもたちへ」)
書くことを木の幹とするならば、読むことはその根っこ。素晴らしい物語を書き続ける、上橋菜穂子さんには、豊かな読書体験がありました。物語が生まれるまでの道のりがここに。
「国際アンデルセン賞」は1956年に創設された児童文学の本の分野で最も歴史と権威のある国際的な賞です。2年に一度、子どもの本の世界に最も貢献した作家1名と画家1名に送られます。選考水準の高さから、児童文学のノーベル賞と称されています。作家賞の受賞は1994年のまど・みちおさん以来の快挙です!