誰にも看取られず、仮設住宅のなかでひっそりと消えていくいのち。ようやく生き延びたのに、なぜ?阪神・淡路大震災後、仮設住宅地に診療所を開設し、患者一人一人に寄り添ってきた著者は、不遇な死を遂げた被災者の生前の足取りを追い、人間疎外の現実を繙いていく。その後日本社会全体が直面することになる「孤独死」の問題にいち早く着目し、弱者切り捨ての実態を鋭くあぶり出した渾身のレポート。