須藤元気が被災地ボランティアで見て、聴いて、感じたすべてを一冊に。すべての人に贈る、絶望から抜け出すための本格エッセイ。そう、今でもあの日の感覚は覚えている。女川にはノイズが無いのだ。人間が作ったものがあるのに、音がまったく無い静寂の世界。電気も水道も通っていない瓦礫の中で僕は立ちすくみ、時々鳴る救急車のサイレンが僕に何かを忠告しているかのようだった。スタートの合図が聞こえた。今こそ文明の転換点。物質文明は終わり、精神世界が始まろうとしている。