人気絵本作家・のぶみが、東日本大震災の被災地で行ったボランティア活動記。
3・11のわずか2週間後、宮城県・石巻に入ったのぶみ氏。過酷なヘドロの掻き出し作業や現地の人との交流、湧き上がる感情を真っ向から描いた、出色のエッセイコミック!
【対象:一般向け】
・作/のぶみさんからのメッセージ
エッセイマンガ『上を向いて歩こう!』は、僕が3月末に宮城県石巻市に行ってきた話が書いてある。震災から2週間後に行ったので、街は、信じられないほどめちゃくちゃだった。死体を運ぶ人がたくさんいる、死んだ魚が腐ったにおいをはなつ。
夜中に赤ちゃんが避難所で泣くと、「うるせぇ、出てけ!」と怒鳴り声をあげるおじさんがいる。仕方ないので、お母さんは、避難所を出る。外は、雪だ。
そんな雪の中の専修大学の校庭に、僕らは、テントはって毎日、いろんなお手伝いをしていた。マイナス5℃である。体は、疲れ果てていたけど、自分がやったことで泣きながらありがとうと言ってくれたお母さんがいて、ホント感動した。
人は、苦しい時ほど自分のホントが見えるよ。ボランティアは、ただで働く。お金は、もらわないかわりに何が残るのか。僕は、そのことをこの本で書きたかった。
夏休みにボランティアに行く人、是非、読んでください。
・担当者のうちあけ話
ガレキの下に埋もれた、食器や衣服などの生活用品、そして本、教科書にアルバム……。家を流され、家族を奪われ、いままだ避難所での生活を余儀なくされている方が大勢いる。東日本大震災の被災地に立つと、さまざまな感情に襲われます。
信じられない光景と被災者の方と、真っ正面から向き合ったのぶみさんの体験記。ボランティアを経験した方にも、これから始めようと思っている方にも、強いメッセージを持っています。これって本当に必要なのか? 偽善じゃないのか? 考えばかりが先攻して、なかなか行動に移れない。いや、実際どうしていいか分からない。そんなとき、まずは、一度読んでください。いろいろな情報が、頭に入ってきます。さらに、二度、三度と読むたびに、身体が自然と動くようになる。そんな力を持った一冊です。(エ)