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  • 著者大鹿靖明
  • 出版社講談社
  • ISBN9784062174978
  • 発行2012年1月

メルトダウン / ドキュメント福島第一原発事故

読み始めたら止まらないノンストップ・ノンフィクションの傑作。日本を崩壊寸前に追い込んだ福島第一原発事故。首都圏壊滅、3000万人避難の未曾有の危機に際して、官邸、東京電力、経産省、金融界では、いったい何が起きていたのか? 『ヒルズ黙示録』で鮮烈デビューした著者が、菅直人、勝俣東京電力会長、経産省官僚らキーパーソンのべ100人以上を取材してわかった驚愕の新事実の数々。
100人以上のキーパーソンの取材によって次々に明らかになる新事実。
●原発事故発生時に東電トップは不在だった。勝俣会長は花田元文春編集長らと中国に視察旅行、清水社長は夫人同伴で奈良観光。焦った清水社長は自衛隊機で帰京を図るも、防衛相の鶴の一言で離陸15分後にUターン。ようやくたどり着いた東京は大渋滞で出社できず。
●電源復旧のためにかり出された電源車はのべ69台。しかし、どれも電源復旧には役立たない。電源車と原発をつなごうにも、ケーブルがない。やっと探し当てると、今度は倉庫の鍵が開かない。なんとか取り出しても、重さ1トンで簡単には敷設できない。危機的な状況のなか、喜劇的な失態が相次ぐ。
●福島第一原発撤退を言い出した清水社長に、菅直人首相は「撤退なんかありえない」と押し戻し、東電本店を数時間にわたって占拠した。「撤退はない! 命懸けでやれ! 60歳以上は現地に行け!」と激怒する首相に気圧されて、東電もやっと腹を括ることに。
●賠償を国が肩代わりすると思い込み、破綻寸前の東電に6000億円のキャッシュを気前よく振り込んだ東電メーンバンクの三井住友銀行。債権放棄やむなしの報道に驚いた経営幹部は掟破りの行動に出た。
●東電のドン勝俣会長の父親は代ゼミの「受験の神様」だった。熱血指導で、兄は新日鐵副社長、道路公団理事、東大教授、弟は丸紅社長の超エリートに。学歴秀才で気位の高い彼は「地震があったときに一番安全なのは原発なんだ。原発に避難したほうが安全なんだよ」と同級生に放言していた。
●菅首相の「鶴の一声」かと思われた浜岡原発の緊急停止は、実は、世論のガス抜きを図った経産省キャリアたちが仕組んだ罠だった。菅首相自らが記者発表したことで、ガス抜きどころか脱原発の機運が高まった。それに危機感を抱いた電力業界と経産省はより一層菅降ろしに邁進してゆく。
●その気になれば、経産省キャリアの人事まで影響力を行使できる東京電力。古賀茂明ら電力自由化を唱えた改革派官僚は軒並み放逐されて、東電べったりの官僚ばかりが出世する。かくいう状況では「脱原発」などの思い切った改革は望み薄だ。

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