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「危機感に裏打ちされた全6章は一読に値する」樋口 健二(フォト・ジャーナリスト)
「安全神話」の裏に隠されてきた原発のおぞましい本質は、原発下請労働者の放射線被ばくである。
原発は差別の上に成り立ち、重層構造の下請制度であり、被ばくを前提にした前近代的な労働形態と賃金のピンハネという二重の差別構造にある。人海戦術を必然とする労働者の手作業なくして一日たりとも動かないのが原発の宿命である。40 年前も現在の東電福島原発大事故の現場も変わりはない。3・11 大惨事以前から現在に至るまで、人権無視の犯罪的行為がまかり通っている。
本来なら大組合の連合が底辺労働者の被ばく実態にメスを入れるべきだが、労使一体の原発推進体制が悲劇を増幅させている。そんな状況を打破しようと立ち上がったのが「被ばく労働を考えるネットワーク」である。本書は彼らによって編まれた。
危機感に裏打ちされた全6章は一読に値する。各々の真剣な姿勢が被ばく労働をなくす未来を照らし出す。暗黒労働の被ばくを世に問う本書の刊行に、歴史的意義を感じる。多くの人々が本書を読まれ、被ばく労働問題をともに考え、行動していくきっかけとなることを願う。