離れて暮らしていた娘・一花に起きた異変。
“食べられない病気”になってしまった。
「顔が似てない親子は、中身が似ている」なんて、
行きつけの店のマスター・美馬さんに言われた言葉がよぎる。
“ごめん、一花。わたしのせいだね――”
ひとり、夜に、“谷在家光一”の封印を誓うたかこ。
私の幸せはいらない。一花を元気にしてください、神様――
この物語の主人公、片岡たかこ。バツイチ。老いた母との二人暮らし。離婚した夫のもとに置いてきた娘のことも気がかり。もう大人なのに、世の中とうまくやっていけない自分がくるしくて夜に押しつぶされそうになる。だけど――深夜ラジオから聞こえてきた、若い声。ロックバンド・ナスティインコのヴォーカル“谷在家 光一”に、「恋」をした。その日から、人生に光が差し込んできた…気がする。