Springer‐Verlagの代表的数学叢書Grundlehrenの第132巻として1966年に刊行されて以来、T.Kato:Perturbation Theory for Linear Operatorsは、解析学あるいは数理物理学の立場から摂動論を研究しようとする者の必携の書として、世界的に広く読まれてきた。本書は、有限次元から無限次元までを講じたこの大著から、設定を有限次元に限っている前半部分だけを切り離し、それに若干の増補を加えて出版されたT.Kato:A Short Introduction to Perturbation Theory for Linear Operatorsの全訳である。無限次元空間のもつ位相的な複雑さに煩わされることなく、有限次元の範囲のみで体系的に、行列の摂動について深く理解することができる。