本書は、20世紀半ばにフランスの伝説的数学者集団ブルバキの一人でもあったサミュエルが書き下した、シンプルでわかりやすい数論の本である。数論に近づく多くの方法のなかから、代数的方法だけを選んでコンパクトにまとめている。予備知識としては代数学の基礎だけを前提とし、そのほかの必要な知識は最初に簡潔に説明してから本題に入るので、初学者でも読み始めやすい好著である。証明は省略せず詳しく書かれており、各章ごとに練習問題もあるので、自習書としても薦められる。フランス語版からの邦訳。