日本経済の停滞が言われて10年が経過しようとしています。この経済低迷のなかで、特に各地域都市部の中心市街地の空洞化が顕著になり、その活性化が1990年代の中ごろから盛んに謳われるようになりました。しかし、都市中心部の活性化は、日本経済の再生が政府の努力だけではなく国民一人一人の努力の上に成り立つものであるように、一自治体や一商店街の努力というレベルだけではなく、地域住民の創意や努力があって成り立つという性格の問題であり、また国全体の都市政策・地域開発問題なども関係してくる複雑なテーマでもあります。本書はこうした複雑な要素を持つ中心市街地活性化の問題に対して、米国、英国、ドイツではどう取り組んできたか、あるいはこの問題をどう回避してきたかをケーススタディを中心にまとめたものです。もちろん、問題が生じた背景は必ずしも日本の各都市と同様ではありませんが、解決へ向けての努力、施策の内容にはわれわれが学ぶべき点が多々あると思われます。