九月二十三日、秋分の日。亘の恋人・園子の死から半年が過ぎた。日差しはまだ強い。ベンチに座り目を細める亘に突然、カメラを下げた見知らぬ男が話しかけてきた。-「最近、いつも来てるな」男は亘の影を勝手に撮影し、モデル料だとチケットを手渡した。タイトルは『柘植康一写真展-未来航路』。尚也と聖の知らないところで、亘の運命の輪が、ゆっくりとまわり始める…。