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  • 著者嶋浩一郎 松井剛
  • 出版社集英社
  • ISBN9784087210118
  • 発行2017年12月

欲望する「ことば」 / 「社会記号」とマーケティング

それは音もなく世界を変える。
インスタ映え、加齢臭、女子力、草食系男子、おひとりさま、イクメン、美魔女、スーパーフード、下流社会、リア充、公園デビュー、ブラック企業、自撮り、終活……。
これら、ある日生まれ、いつの間にか社会に定着したことばを、著者は「社会記号」と呼ぶ。それらは私たちの思考や生活様式を変え、市場にも大きな影響を及ぼしていく。なぜ人は新しいことばを求めるのか。ことばは私たちの言語化できない欲望をどのように言い当てるのか。メディアはそこでどんな役割を担うのか。
消費者行動論の研究者とPR業界のトップランナーが、社会記号の誕生プロセスを検証しながら、その成立条件や社会的要請など、多角的に考察。知っているようで知らないことばのダイナミクスを解き明かす。
【目次】
はじめに 社会記号が世の中を動かす  嶋 浩一郎
第一章ハリトシス・加齢臭・癒し・女子 ―― 社会記号の持つ力  松井 剛
第二章いかに社会記号は発見されるか ―― ことばと欲望の考察  嶋 浩一郎
第三章ことばが私たちの現実をつくる ―― 社会記号の機能と種類  松井 剛
第四章メディアが社会記号をブランドと結びつける ―― PRの現場から  嶋 浩一郎
第五章なぜ人は社会記号を求めるのか ―― その社会的要請  松井 剛
第六章対談・誰が社会記号をつくるのか  嶋 浩一郎・松井 剛
おわりに 社会記号をクリティカルに捉える消費者になるには?  松井 剛
【「はじめに」より】
もちろん、社会記号について知ることは、ビジネスの役に立つだけではありません。
本書の共著者である一橋大学教授の松井剛さんは、社会学者タルコット・パーソンズの「概念はサーチライトである」ということばを踏まえて、「社会記号について知ることは、世の中の見通しが良くなることでもある」と指摘しています。
概念、つまりことばがサーチライトになって、そのことばが指し示すものが照らされる。それまで見えなかったものが見えるようになる。すると、私たちは照らされた物事に注目し、途端に意識するようになります。
加齢臭や女子力ということばがなかった時代には、体臭を気にする男性も、自分磨きを意識する女性も決して多くはありませんでした。しかし、社会記号として概念がつくられた途端、男性用の体臭ケア用品が売れ、女性の魅力を磨く講座に人が集まるよになりました。
社会記号は市場を作るだけでなく、自分自身、ひいては世の中の見え方までも変えてしまいます。その仕組みを理解することは、社会に対する洞察を深めることにも役立つでしょう。

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