昭和26年、辰巳秀雄は大阪信濃橋に「新日本探偵社」を構えた。常時10人ほどの所員はもちろん「名探偵」ではない。足を武器に歩く、歩き廻る。大企業から1個人まで、その調査対象も調査依頼者も幅はきわめて広い。求められた調査報告から浮かび上ってくるのは、敗戦後の荒廃から復興する街の姿、そのなかに覆いかくされた暗部の数々である…。