71歳のユダヤ系アメリカ人コールマン・シルク。輝かしい経歴を誇る古典学の教授である。そんな彼が黒人学生に対して人種差別発言を行ったと非難され、大学を追われることになろうとは…。そんな発言ができないことは、誰よりも彼自身が一番よく分かっている。なぜなら、彼には人生のすべてを賭けた秘密があったから…。失意のどん底でコールマンがつきあい始めたのは、すべてが対極的な位置にあるフォーニアだった。貧しく、無学で粗野、暴力を振るう元夫につきまとわれ、常に怯えながら暮らしている若い女性。だが親子ほども年の違う二人の恋は、周囲に新たな波紋を巻き起こすことになる…。巨匠フィリップ・ロスが一人の男の運命に20世紀アメリカの苦悩と悲劇を重ねて放った問題作。ペン/フォークナー賞受賞。