現在の教育をめぐる危機的状況において、日本教育史を研究することの意味はどこにあるのだろうか。また、その場合、研究手法は具体的にどうあらねばならないのか。本書は、それらの問いかけに応えて、ひろく教育学をまなぶ人たちに向けて著者みずからの研究法を公開した、論文指南の書である。事実が先か、方法論が先か/現在と過去との往還/事態を矛盾的に、未来を展望的に/テーマ設定と対象選択の必然性/調査に入る/古文書を読む/文体論/書く、というプロットを用意し、学問的論文を仕上げるためのノウハウを、実際例を示しながら分りやすく解説する。