古代の律令国家において、なぜ年中行事は国家的儀礼として行われたのか。天皇と官人の関係を表現した射礼、武力を結集する五月五日節、八月駒牽、相撲節、疫鬼を追放する大晦日の儺…現在まで残る民俗の起源でもあるそれらの儀式は、身分や秩序を体現し、権力構造を視覚化するものだった。儀式の過程やその変遷を子細に探究し、天皇を頂点とする国家構造との関わりを解明する。