寝させ唄でも遊ばせ唄でもない、日本独特の子守り唄。甘やかな郷愁とは対極の暗さを漂わせる一群の守り子唄はどこから来たのか。年端もいかぬ子守り少女たちのモノローグ。おどま盆ぎり盆ぎり、と口ずさまれる背景はいかなるものか。五木の子守唄として採集された七十余りの詞章を検討し、近代化の過程で忘れられていった精神史の風景を掘り起こす。