「時間」や「空間」とともに「質量」は物理学の基本概念である。物理学が対象とする物質が存在すればそこに質量もあると考えるのが当然だ。ところが、宇宙誕生の初期、すなわち物質生成のはじめには質量はなくて、物質の進化とともに質量を獲得したいというのが現代物理学の結論だという。いったい質量がない物質とは何か、それがいかにして質量をもつようになったのか。現代素粒子物理学が明らかにした宇宙と物質のダイナミックな進化の姿を紹介しよう。